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現金(業務用通貨)にかける保険

 今回は店舗の売上げなどの現金について、どのような保険があるのか考えてみます。

 業務用通貨というと固い印象を与えますが、要は「会社のお金」ということです。この「会社のお金」を取り巻くリスクと言えば、まずは「盗難」が挙げられるでしょう。

 「事務所や店舗内から現金が盗まれる」、「小口現金を銀行に引き出しに行った帰り、もしくは売上金を銀行に預けに行こうとした途中でひったくりに遭ってしまった」などです。

 こうした被害をカバーしてくれる保険については、おおよそ次の4つが考えられます。
※保険の名称はわかりやすくするために、便宜的な呼称を用いています。約款上の正式なものとは異なる場合がありますので、ご注意ください。
 
(1)火災保険
(2)簡易版の少額現金用保険
(3)売上高で掛け金を算出する現金保険
(4)実際の現金の動き(保管高、輸送高)に合わせた現金保険

<それぞれ4つの保険の特徴について>

(1)火災保険
・事務所、店舗の什器や備品、機械設備に保険がかかっている
・保険の名称が「店舗総合保険」(※)

 上記2点を満たしている場合、「その事務所(店舗)内にある業務用通貨について、盗難被害に限って、30万円まで補償」されます。火災保険なのですが、火災被害(お札が燃えてしまったなど)は補償されません。

 意外と加入時に説明されていない、あるいは説明されたものの気に留めていないケースがあるので、火災保険の加入の有無、火災保険の名称を確認してみると良いでしょう。なお、小切手は補償の対象になりません。
※名称が「普通火災保険」だと、この補償はありません。各保険会社の最新型の火災保険だと、30万円という限度額がもっと引き上げられている場合があります。

(2)簡易版の少額現金用保険
 1事務所、1店舗につき、「100万円まで」、あるいは「300万円まで」といった少額の現金(小切手も含みます)を補償する保険です。概ねどの損害保険会社でも取り扱っています。

【メリット】
・申込手続きが簡単。保管高や輸送高を通知する必要はありません
・保険料(掛け金)が比較的、安価(おおよそどの保険会社でも、「100万円まで」が年間2万円、「300万円まで」が年間3万円)。
・店舗内の保管中だけではなく、外での携行中も対象(車の中などに置いてある状態で盗まれる、いわゆる「車上荒し」は原則、対象になりません)。
・盗難、ひったくり以外の、保管中の火災、風水害なども対象になります

【デメリット】
・複数の店舗(施設)がある場合は、各店舗(施設)ごとにかける必要あり。
・補償される限度額が低い

(3)売上高で掛け金を算出する現金用保険
 上記(2)の簡単さはそのままに、補償額を(2)よりも自由に(大きく)設定できます(例「5000万円まで」、「1億円まで」、「2億円まで」など。ある程度のパターンの中から選択する形になります)。

 その段階でわかる損益計算書上(直近決算年度)の売上高で保険料(掛け金)を算出します。保険料は、補償額や保険会社によって異なります。また、補償内容も、車上荒しを一部、補償する保険もあるなど、保険会社によって、まちまちです。

【メリット】
・申込手続きが簡単。売上高の通知で事足り、保管高、輸送高の通知は不要。
・企業単位で補償額を設定するので、「自社のお金」であることを証明できれば、どの施設であっても、施設外でも、全て対象に含まれます(不特定施設については、限度額を低く設定される場合があります)。
・盗難、ひったくり以外の、保管中の火災、風水害なども対象になります。

【デメリット】
・売上高の通知が必要なので、損益計算書等のコピーを提出する必要がある
・(2)よりも保険料は割高
・補償額を一定以上の大きな金額には設定できない(保険会社によって異なります)。

(4)実際の現金の動き(保管高、輸送高)に合わせた現金用保険
 上記(3)では補償額が足りない場合の保険です。保管高や輸送高など、企業の「実際のお金の動き」に合わせて、オーダーメイド型で掛ける形になります。


<まとめ>
 「現金のリスク」を考えると、"保管中"だけではなく、"輸送中"(大げさな言葉ですが、「銀行の行き帰り」というイメージです)の補償も必要になるのではないでしょうか。

 そうすると、ごく少額の現金しか取り扱わないのであれば→(2)、そうでなければ→(3)というのが、実際に企業で採用されているパターンとして多く見受けられます。(4)はかなり大きな現金を動かしている企業用の保険と言えす。

 また(2)は完全に「定型パターン」の保険で選択の幅は狭く、(3)は「セミオーダー型」と言えましょう。各保険会社が力を入れているのも、この(3)のタイプです。

 従って手順とすれば、最大リスクを想定し、既存火災保険「現金」の補償範囲を確認する。そしてカバーできない部分と被害最大金額を算定し場合によっては「現金用」保険を検討する。というような流れになると思います。


(法人コンサルティング部 小鳥秀明)

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