中小企業のお客様へ

« 保険金の独特な支払われ方 | ニューストップ | 法人が生命保険に加入する目的とは?(前編) »

支払われた保険金額が修理見積額より少ないわけ(後編)

 今回は先週の「支払われた保険金額が修理見積額より少ないわけ」の続編となりますので、前編を読まれていない方はそちらを先にご覧ください。

◎5月7日号 支払われた保険金額が修理見積額より少ないわけ(前編)

 困った時のために保険をかけているのに、「いざ復旧しようとすると足が出てしまう」、「得をするな、というけれど、時価の修理(経年減価分の劣化を盛り込んだ修理)なんて、そもそもできない」。

 このような意見は、至極もっともな話であり、「再取得に際し足が出ない(新価をベースとして保険がおりる)」=「保険による利得ではない」となり、特約を付ける方法が用意されています。

 その特約は以下の2つです。

1.新価保険特約(略称:新価)
2.価額協定保険特約(略称:価協)

 両特約とも「価値の基準を新価にする」点では共通です。

 ではその相違点は何か?それぞれの特色が導き出される相違点に焦点をあてて見ていくと・・・

      ***********************************************

■一部保険(付けていた金額が少なかった)の問題は起きるか?

 新価:起こりうる
 価協:起きない(正確に言うと「起きてはいけない」)

 新価、価協とも「新旧間控除」の問題は解消されます。

 しかし「一部保険」の問題については、新価だけが起こりうるのです。なぜなら価協は読んで字の如く、契約者と保険会社があらかじめ保険をつけるものの価値(金額)を協定するからです。

 契約者が価値に見合った保険をつける(故意に一部保険にしない)代わりに、事故の際に保険会社は「一部保険」を理由とした減額をしないことになります。もちろん「新旧間控除」を理由とした減額もしないことになります。

 新価においては上記の協定は行われないため事故時に価値の査定が行われ、不十分であれば「一部保険」を理由とした減額をされてしまいます。

 新価においては特に、保険をつける際の金額設定(評価)を慎重に行うべきです。なぜその金額なのかを立証できる裏付けまで用意しておきたいところです。

■再取得義務

 新価:あり
 価協:なし

 新価においては保険金の使途が制約されます。再取得(復旧)しない場合、時価(新旧間控除された金額)でしか保険はおりてきません。

 相違点として上記2点に絞って考察しましたが、ここから浮かび上がってくるのは契約者にとって、より様々な義務(約束事)を課せられるのは新価特約の方だということです。

 これは新価特約と価協特約がどんな保険契約を対象としているのかによっているのです。

 非常に簡略化すると価協の対象となるのは、住宅や個人商店など比較的、小規模なものであり、企業の持つ工場などが新旧間控除の問題を解消しようとする場合、新価特約ということになります。

 日本における保険は、企業、法人について、保険に対して十分な情報、知識を有する存在として位置付け、保険契約の一方の当事者としての義務を案外、厳しく課していると言えます。

      ***********************************************

新価特約の注意点

■適正な金額設定

 前述した通り、新価特約をつけるだけでは「一部保険」を理由とした問題は解決されないので、価値に見合った保険であることを事故が起こった際に立証できるようにしておくことが重要です。しかもその価値も「再調達ベース」で考えなければなりません。

 このようなケースが過去にありました。

 保険をつける機械等を再調達する場合、技術進歩ゆえに「同程度」のものが既に市場にはなく、より高付加価値のものを買わざるを得ない。この金額で保険に加入できないか?

 結論から言うと、加入できました。契約者サイドで代替品の金額を個々の機械で設定し、その資料を事前に保険会社に提出することで、適正な金額設定として認定されたのです。

■再取得義務について

 新価特約が主として企業物件につけられることを想定しており、「保険による利得」をさらに慎重に防ぐ意味合いがあるのでしょう。

 さらに細かく見ていくと、復旧は2年以内に行うことが定められており、復旧完了されるまでは保険金は支払われないことになっています。

 損害が大きい場合、先に発生する支出に耐えられないケースも出てきます。そこで保険会社への申し出を行い、差し当たって時価相当分の保険をおろしてもらい(内払い)復旧後、新価相当分との差額を受け取れるとしています。

※各保険会社の新型火災保険(補償の幅が広く、保険金の支払われ方も「新価実損」方式になっている)の場合、採用されている価値ベースは原則「新価」であることが多いのですが、再取得義務については各社によって異なり、再取得義務が課されない場合もあります。

      ***********************************************

 「新旧間控除がない」新価特約ですが、再取得義務に関してはなかなかに厳しい制約と感じられる方も多いのではないでしょうか。

 となると場合によっては、新価特約を付けるものを選択(建物、機械など大事なものは新価に、什器・備品のように必ずしも再調達費の確保に重大性が感じられないものは時価にするなど)しつつ、復旧までの間の企業体力の確保として、利益保険の活用や、あるいは再取得義務のない新価ベースの新型火災保険を検討するなど、広い視野でのリスクマネジメントが重要といえるかもしれません。

◎保険金の独特な支払われ方

◎「一部保険」、「全部保険」、「超過保険」とは

(法人コンサルティング部 小鳥秀明)

>>> お問い合わせはこちら
中小企業のお客様向けサービス
人・物・賠償補償に関する悩み コンサルティング
会社の保険.jp 保険情報ステーション
個人のお客様向けサービス
保険の相談.jp 保険情報ステーション
手軽に健康状態をチェック e-ヘルスバンク